北陸信越ブロック第9期研修チーム 第4回研修会 レポート

令和2年6月13日(土)13:30~15:30
開催場所:Web会議(zoom使用)
講師:吉野香岳 氏
参加対象者:28名内第9期研修チーム他計20名

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新潟青年部 日吉祐貴さん

昨今の事情により様々な行事が中止となる中、富山県にて開催予定であった第四回研修会もその対象となりました。
しかし、ブロックの先輩方のご尽力のおかげでオンラインにて開催することとなりました。
巷で流行りのZoomを用いたオンライン研修会ということで、初めは「一人で受ける、普段とは異なる環境での研修会」であり、
きちんと集中して学べるのか不安がありました。
しかし、実際始まってみるとブロックの先輩方、そして研修チーム同期の皆の顔を見ることができ、
皆と共に学ぼうという意識が強くなりました。録画映像を一人で見るのではなく、
離れていてもリアルタイムで同じ時間を共有することは重要だと思いました。
さて、今回の研修は副ブロック長でもある、越中瀬戸焼千寿窯の吉野さんによる茶碗に関する講義でした。

講義内容は茶碗の作り方および茶碗の種類についてであり、種類については普段のお稽古で知ることが多いですが、
作り方については中々多くはありません。前研修会における矢口さんの工房見学と合わせて良い学びの場となりました。
茶碗の写真を見ながらそれぞれの特徴について解説して頂く形式でしたので、
今回のオンライン研修とは相性が良かったのかもしれません。
講義の中でも印象的だったのは下記の二点です。

一つ目は、茶碗を作る大変さです。
茶碗の作り方としては大まかに分けて、粘土製造~茶碗制作~焼成となります。
この中でも粘土製造については、「ただ粘土を作るだけ」というようにも捉えられます。
しかし、この工程にも一~二年かかると知り、一つの茶碗を作るにも見えない苦労があると感じました。

二つ目に、茶碗の焼成温度です。
講義の中で、焼成温度によって茶碗の見た目の雰囲気が異なることを知りました。
よく理科の実験で用いるガスバーナーでは、炎に酸化炎と還元炎があり、同じ炎でも温度の違いがあります。
この違いが茶碗の見た目に関与していると知り、感銘を受けました。
例えば、楽焼は通常よりもやや低い温度で焼成を行い、これによって見た目の柔らかさを作り出すことができます。

現代では電気釜やガス釜によって温度調整がし易くなったものの、以前の穴窯や登り窯では容易ではなかったと思います。
一つの茶碗を作るにも多くの失敗を経て完成するのだと感じました。
今回の研修を通じて、茶碗について多くを学ぶことができました。
青年部活動にて茶碗を作ることはありましたが、作家さんの苦労を知ることで「道具を大事にしよう」という思いが強くなりました。
今後もお茶会などに積極的に参加し、今回学んだことを活かせるよう多くの茶碗を見る機会を増やしたいと思います。

 

長野県青年部 紺谷沙貴さん

6月13日の昼下がり、少しそわそわした気持ちで私はパソコンの前にいました。
そして、パソコンの画面越しに7カ月ぶりに研修チームの仲間や役員の方々のお顔を拝見しました。
慣れないZoomにやや緊張しながらも、皆さんのお顔を見た瞬間自然と笑みがこぼれたことを覚えています。
今回の研修では、越中瀬戸焼千寿窯の吉野香岳先生から茶碗についてのお話をオンラインでお聞きしました。
初めは、オンラインでの研修会はどのような感じになるだろうかと不安な気持ちもありましたが、
吉野先生ならではの作り手としての視点を交えたお茶碗のお話を聞いているうちにあっという間に時が経過していきました。

お茶碗は亭主と客の両方が手に触れるものであり、最も注目される花形の茶道具と言っても過言ではありません。
そんなお茶碗について、このように製造過程から詳しくお話が聞けて、大変貴重な勉強の機会になりました。
特に、時代や産地ごとに分けて体系的にお茶碗のお話を聞くことができ、茶道の奥深さをひしひしと感じるばかりでした。
今までは、お茶碗の産地と言われても恥ずかしながらあまりイメージが湧かなかったのですが、
様々なお茶碗を比較しながらのお話を聞くことで、特徴が少しずつ自分なりに見えてきたと思います。

また、研修内で先生が紹介してくださった、お茶碗を鑑賞するコツに関する文章も心に焼き付いております。
その文章には、お茶碗を鑑賞するコツは何より自分の好き嫌いを大切にすることである、とありました。
そうすることで名器でも自分の感性に合わないこともあるし、安く名もないお茶碗でも生涯大切にするかもしれないと記してありました。今後はそのコツを意識しながらお茶碗を鑑賞し、生涯大切にしたいと思えるお茶碗に巡り合えたら茶道冥利に尽きると思いました。
今回のようにオンラインで研修を行うということに時代の移り変わりを身に染みて感じました。
それとともに、研修会全体の想定外の事態が起きた場合に柔軟に対応する能力と新しいことに挑戦していくという精神も感じ取ることができました。これからのお茶人生では今回の研修で学んだことを活かしていきたいと思う次第です。

本来ならば、3月にお茶碗づくりをお教えいただく予定でした。
しかし、このようなご時世で中止となり、今後は研修会自体を行うことが困難かもしれないと半ば諦めていた中、
オンラインで研修会を開催して頂けたことは大変嬉しかったです。

最後に、この場をお借りして、今回の研修会を企画してくださった役員の皆様にお礼を申し上げます。
ありがとうございました。

 

高岡青年部 白﨑 裕大さん

第四回の研修会は新型コロナ対策として、オンラインで行われました。
テーマは「茶碗について ~産地から見る特色~」
茶碗の種類から製作過程、茶碗の形や鑑賞の仕方を学びました。
中でも、茶碗に使用する土づくりについてはとても興味を惹かれました。
先ず、茶碗に使用する土は窯元自らが製造していることに驚きました。
彩土から乾燥、粉砕の工程を経て、水簸という作業を行います。
水簸を行うことで余分なものが取り除かれ、きめの細かい土になるそうです。
そのように製造された粘土を長期間貯蔵して、やっと成型に適した土ができるそうです。貯蔵については、期間を長期にすればするほど、粘り気が出て良い土になると教えていただきました。
茶碗の鑑賞については、いつも茶会でどこを見るのが良いのかよく分からないでいたのですが、
「人の意見に左右されず、自分にとっての好き嫌いを大切にすると良い」と教えていただき、
自分の感性でまず見てみようと思いました。気に入ったお茶碗があったら購入もしてみたいと思います。

今回の研修はコロナ禍ということで、現地に赴くことができず残念でしたが、
講義の内容がとても分かりやすく、とても勉強になりました。

石川青年部 前田卯木さん

今回は、新型コロナウイルス感染防止のため、オンラインでの研修会でした。

越中瀬戸焼千寿窯主の吉野香岳氏を講師に、「茶碗について~産地から見る特色~」と題して講義をしていただきました。
茶碗の作り方や形・高台の種類について、さらに様々な産地・年代の名器について、
一つずつ詳しくご説明いただき、大変勉強になりました。
唐物茶碗でも時代を考えると「これは日本からの注文であろう」と考えられることに驚きました。
今後お茶碗に触れる際、焼き物の産地や形だけでなく、時代も考えて見る、という視点を教えていただきました。

また、講義の中で紹介いただいた文章が、印象深く心に残りました。
それは、「茶碗を鑑賞するコツを一言でいえば、人の意見に左右されず、
自分にとっての好き嫌いを大切にして鑑賞するということです。」というものです。
今後お稽古、お茶会、美術館と様々な場所でお茶碗に触れると思いますが、
少しずつ自分の「好き」を明らかにしていきたいと思いました。
久しぶりに研修チームの仲間のお顔を見ることもでき、嬉しく勇気づけられる思いでした。
改めて茶道の素晴らしさを実感した研修会でした。研修会やお茶会が中止となる中、
このような形で研修会を実施してくださった講師の吉野先生、北陸信越地区ブロック役員の皆様に深く感謝申し上げます。