北陸信越ブロック第9期研修チーム 第2回研修会 レポート

 

令和元年5月25日(土)26日(日)
開催場所:兜門前、大徳寺、大西清右衛門美術館、福寿園CHA遊学パーク
講師:福寿園CHA遊学パーク:秋山哲也氏、東基子氏
参加対象者:第9期研修チーム他計30名

Report

中越青年部 髙野裕太さん

1日目
〇兜門
今期研修チーム2回目の研修は今日庵の正門、兜門での記念撮影からスタート。
歴史ある建物の多い京都の中で、兜門は武家屋敷のような剛健さとは異なり、
一見簡素に見えますが檜皮葺で格式の高さを感じる建築だという印象。
写真では見たことのある門構えですが、
実際に目の前にあるのを見ると、気が引き締まる気がしました。

 

 

〇大徳寺 聚光院・山門
大徳寺では、まず聚光院を参拝。
大徳寺内の各寺・塔頭の名称は全てそこに弔われている人物の法名からとられているとのことで、聚光院は三好長慶の法名。大徳寺は利休居士、茶道にゆかりがあるという認識はありましたが、他にも歴史上の多くの人物と関連する寺院だと知りました。
普段非公開の寺内に入らせていただき、まずは方丈で国宝の狩野松栄・永徳の襖絵を鑑賞。狩野永徳には洛中洛外図屏風のような煌びやかなイメージを持っていたので第一印象はずいぶん素朴なもの(寺院なので当然といえば当然かも・・・)
という印象でしたが、見れば見るほど動植物が繊細かつ力強く生き生きと描かれていて、とても新鮮な感じを受けました。
続いて建物奥の茶室・水屋を見学。ここは三千家の歴代のお家元も使用されているとのこと。
歴史ある茶室を見るのはほぼ初めての経験でしたが、簡素で落ち着いていて、でも緊張感のある空間という印象。
兜門でも感じましたが、お茶の空間というのは、(うまく言えませんが)日常の空間から離れ、
落ち着きと良い意味での緊張感がバランスして成立しているものなのかなと感じました。
聚光院の最後は利休居士ほか歴代お家元の墓参。
利休居士がここに眠っておられると思うと、緊張しながらお参りさせていただきました。

(茶道を深めた人が墓石に耳を近づけると釜の湯の音が聞こえるとのこと。
実際にやってみると・・・聞こえませんでした。当然ですがまだまだですね・・・汗)。
聚光院の次は山門(金毛閣)。
ここも普段は立ち入りできませんが、特別に山門の二階部分、
金毛閣へ上がらせていただきました。
利休居士切腹の原因になったとされる木像
(現在安置されているのは江戸時代に復元されたものとのこと)のほか、
数々の仏像や長谷川等伯の天井画など貴重な文化財を見ることができました。
また建物も利休居士の寄付により現在の姿になったものとのこと。
望楼部からは京都タワーや大文字山も見える大規模なもので、
朱色に塗られた部材による細かな木組みや二階部分の軒丸瓦には
「金」の字が彫られているなど、興味深い建築物でした。

〇大西清右衛門美術館
1日目最後の見学先は千家十職の釜師「大西清右衛門」の美術館。
建物の正面には「御釜師」の木看板が掲げられていました。
館内には歴代の作品が展示され、細かな技巧などをじっくりと見学することができました。
またここではお茶とお菓子もいただきましたが、
偶然正客席に座らせていただくことになり
楽家11代慶入作の平茶碗でお茶をいただくという貴重な経験もさせていただきました。

 

 

2日目
〇福寿園CHA遊学パーク
二日目は木津川市へ移動し、伊右衛門で有名な福寿園のCHA遊学パークで茶摘み・石臼挽き体験を行いました。
CHA遊学パークでは敷地内に日本各地の様々な品種の茶の木が栽培されており、
幹線道路沿いの雛壇状のエリアでは茶畑の雰囲気の中、茶摘みの体験ができました。
茶の葉を摘むときは先端から2~3葉目までを手でプチッと。
結構クセになる感覚ですが、実際の収穫作業では新芽を厳選して次から次へとスピーディーに手作業で摘まなければいけません。私の家は小規模な米農家なのですが、
稲作のような農業とはまた違った大変な作業だと感じました。
茶を摘んだ後は石臼で挽いて抹茶にする体験。
福寿園で実際に使用されているものと同じサイズの石臼で、
登山家三浦雄一郎さんがエベレストでお茶会に使用したという
「萬丈の昔」用の茶葉を挽きました。使用した石臼の大きさは約30cm、
これが抹茶を挽くのに最適なサイズとのことですが、
人力で一定の速度で長時間回すのはなかなかの力仕事。
30分ほどかけてかなり挽いたと思っても、薄茶四服分くらいしかできず、
茶摘み作業もですが、抹茶の粉末になるまでにとても手間隙がかかっているんだという事を実感することができました。

全体を通して
今回の研修内容は、(茶道を習い始めて2年目に入ったばかりという事もあると思いますが)
私にとっては見るものやすることのほとんど全てが初めての体験でした。
大徳寺では、利休居士やその時代のものに触れ、戦の時代に発展したという背景からか、
単に歴史的美術品というだけでない力強さや存在感を感じる体験となりました。
また、利休居士がここにいらっしゃって私たちを見ている、と思うと身が引き締まるような感じがして、
本当に貴重な経験になったと思います。
福寿園では、お茶の木から抹茶になるまでの過程を体験し、非常に手間暇かかるものだという事を実感しました。
また大西清右衛門美術館でも、釜という一つの茶道具を取ってみても高度な技などがあって形作られているのだと思いました。
また少し違った見方をすると、抹茶も釜も茶の空間を構成するものの一つですが、
単に一式揃っているというだけでなく、それら一つ一つに物語のようなものがありそれらが絶妙に交わることで
一つの茶の空間が出来上がるのかな、などという風にも感じました。
研修チームの活動は今後も1年半にわたって続きます。
またそれが終わっても、今後の人生の中で長い時間お茶に触れていくことになると思います。
今回の研修での貴重な体験・実感を今後の中で生かしていくことができれば、ということを思った研修でした。

 

高岡青年部 藤田知里さん

第二回の研修会は京都へ行って来ました。
今回の研修でもっともたのしみにしていたのが人生初めての茶摘みです。
伊右衛門で有名な福寿園さんのCHA遊学パークにてお茶摘みから臼で引いて抹茶を点てるまでの一連の流れを体験してきました。
15分ほど茶畑でお茶を摘みましたが柔らかい芽は手でも簡単に積むことができ、
慣れてくると柔らかい芽とそうでない芽を見極められるくらいになりました。
その後、熱入りと乾燥の工程を教えていただき、臼で抹茶を引きました。
なんと10分回し続けてようやく3gの抹茶が出来るとのこと。
普段いただいている薄茶が一服約2.5g。さらに回すスピードや均一な力加減が重要だそうです。
今回初めてこうしたお茶事情を知り、一碗のお茶がよりありがたく感じました。
もちろん、工場ではこれよりも大きいサイズの臼(たしか33センチ径)を機械で動かしていますが
美味しいお茶を引くには臼が大きければいいという事ではないそうです。
茶摘みも臼引きも一度はやってみたかったのでとてもいい経験になりました。
ご一緒いただいた皆さんありがとうございました。

 

石川青年部 岡能之さん

初夏の陽気を思わせるような熱い日差しの中、
茶道裏千家淡交会北陸信越ブロック第9期研修チームの第2回研修が5月25日~26日の日程で京都の地で開催されました。
初日、茶道資料館に集合した我々研修メンバーは、由緒ある兜門の前で記念撮影を行い、大徳寺に向かいました。
大徳寺・聚光院では桃山時代から江戸時代に日本の美術の中枢を担った狩野派の巨匠、
加納永徳とその父松栄の幻想的な四季折々の襖絵を拝観し、
その後利休の流れをくむ三千家(表千家・裏千家・武者小路千家)のお墓もお参りさせて頂きました。
また、普段なかなか登ることができない金毛閣に上がらせて頂き、
利休像を拝観させて頂く貴重の経験もさせて頂きました。
その後、大西清右衛門美術館では歴代の作品展示を見学した後、
薄茶を頂き、お茶を通し、学びながら、おもてなしの心を感じることができました。
本年度の研修チームも仲が良く、夜遅くまでお酒を飲みながら各ブロックの取り組みなどを話しながら交流を深めることができました。
二日目には福寿園CHA遊学パークにて係の人の説明のもと、館内の見学、茶摘み体験 石臼体験をし、
自分で引いたお茶での一服と茶の葉の天ぷらも試食し楽しいひと時を体験致しました。
茶道を通して出会った仲間と共に、充実した実りある学びの時間を得ることができました。
最後にお世話頂いた総本部の方、福寿園の皆様 北陸信越地区ブロック役員の皆様に深く御礼を申し上げます。

石川南青年部 宮田結女さん

向暑の候、5月25日・26日に京都にて第2回研修会が行われました。

一日目。
午後に集合し、兜門前にて集合写真。
大徳寺聚光院で、国宝の襖絵と茶室を見学してきました。
親子で描かれたという絵はどちらの特徴も活かされていて素晴らしいものでした。
その後、利休居士と歴代宗匠のお墓にお参りをしました。
大西清右衛門美術館にて、おいしいお茶やお菓子をいただき、
ほっこりした気持ちで歴代大西清右衛門さんのお釜を拝見してきました。

二日目。
福寿園さんにてお茶摘みを体験してきました。
石臼で腕が痛くなるほど、挽きましたが少量の抹茶しかできず今まで買っていたお茶は
この工程を超えて出来たものか、と感慨深かったです。

二日間を通して、なかなかできない体験をさせていただけましたこと大変感謝しております。
お抹茶ができるまでの工程を知り、作成者の苦労を感じることできました。
たくさんの方々の努力の上で茶道をさせていただいていること、日々感謝の気持ちで臨んでいきたいと思います。